○大東市こころふれあう手話言語条例

平成27年9月30日

条例第25号

人が互いを理解し合い、手をたずさえて暮らしを築いていく上で、言語は欠かせないものです。そして、手話は手指や体、表情を使って視覚的に表現する言語です。

ろう者は、手話でコミュニケーションを図り、互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造してきました。ろう者にとって手話は生きる力です。そして、ろう者は、手話で日常的にコミュニケーションを図ること、手話通訳などの情報保障によってこころふれあう優しい社会となることを長年願ってきました。

しかしながら、手話が言語として位置づけられなかったため、ろう者はコミュニケーションや交流を図ることが難しく、また、十分な情報を得られないため、地域や職場などにおいて孤立しがちな生活を営んできました。また、健聴者も、ろう者のことを理解する機会が少なく、お互いを十分に分かり合う環境にありませんでした。

こうした中で、国際連合総会において採択された「障害者の権利に関する条約」や「障害者基本法」において「手話は言語である」と位置づけられました。今後、私たちは、ろう者と手話に対する理解を深め、手話を学び使用することで、誰もが地域社会に参加できる環境づくりを進めていく必要があります。

よってここに、大東市自治基本条例(平成17年条例第26号)の趣旨にのっとり、私たち一人ひとりがろう者を理解し、手話にふれあい、共に生きる大東市を目指し、この条例を制定するものです。

(目的)

第1条 この条例は、手話は言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及並びに手話を使用しやすい環境づくりに関する基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、すべての市民が安心して暮らし、つながりを深めることのできる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を主なコミュニケーションの手段として用いる聴覚障害者をいう。

(手話の意義)

第3条 手話は、ろう者が意思疎通を図るための視覚的言語として独自の言語体系を有する文化的財産であって、ろう者が知識を得て心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできたものである。

(基本理念)

第4条 手話への理解の促進及び手話の普及は、ろう者が手話によりコミュニケーションを図る権利を有することを前提として、ろう者及びろう者以外の者が、互いに人格及び個性を尊重することを基本として行わなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、手話への理解を促進し、手話を使用しやすい環境づくりを推進することにより、ろう者の自立した日常生活及び地域における社会参加の促進に寄与できるよう努めなければならない。

2 市は、手話を使用することができる職員を増やすよう努めなければならない。

(市民の役割)

第6条 市民は、第4条に定める基本理念に対する理解を深め、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、手話をコミュニケーションの手段として活用するよう努めるとともに、つながりのある地域社会の構築及び障害者が安心して生活できるまちづくりに寄与するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、第4条に定める基本理念に対する理解を深め、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、手話をコミュニケーションの手段として活用するよう努めるとともに、つながりのある地域社会の構築及び障害者が安心して生活できるまちづくりに寄与するよう努めるものとする。

3 事業者は、ろう者とコミュニケーションを図り、サービスを提供するよう努めるものとする。

4 事業者は、ろう者に配慮した職場環境を構築するよう努めるものとする。

(学校における手話の普及)

第8条 市は、学校において児童、生徒及び教職員に対する手話を学ぶ機会を提供するよう努めるものとする。

2 市は、市民が手話に関する理解を深めるため、学校教育における手話への理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

(施策の推進方針の策定)

第9条 市は、手話に関する施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。

2 施策の推進方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 手話への理解の促進及び手話の普及に関する事項

(2) 手話による情報取得に関する事項

(3) 手話による意思疎通の支援に関する事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

3 施策の推進方針は、市が別に定める障害者に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 施策の推進方針は、これを公表するものとする。

(大東市手話施策推進会議)

第10条 施策の推進方針の策定又は変更をする場合において、ろう者等から意見を聴取するため、ろう者、意思疎通支援者、公募市民等が参画する大東市手話施策推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。

2 推進会議の組織及び運営については、市長が別に定める。

(財政上の措置)

第11条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成27年11月1日から施行する。

(検討)

2 市は、この条例の施行の日から起算して3年を経過するごとに、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

大東市こころふれあう手話言語条例

平成27年9月30日 条例第25号

(平成27年11月1日施行)