○大東市環境基本条例

平成18年3月30日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 地域の各主体の連携及び役割(第5条―第8条)

第3章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境に関する基本的な計画の策定(第9条―第12条)

第2節 良好な環境を保全及び創造するための施策(第13条―第16条)

第3節 環境審議会(第17条)

第4章 地球環境保全のための施策(第18条―第20条)

第5章 参画と協働のための施策(第21条―第24条)

第6章 推進体制等(第25条―第29条)

附則

わたしたちのまち大東市は、生駒の山並みに抱かれ、寝屋川を擁する豊かな自然に恵まれています。また、大阪への交通のかなめの地として、古墳時代の遺跡が残るほど古くから、生活と産業の拠点でもある利便性と、野崎まいりにみられるひなのなごみを共有し、人々に愛されてきたまちです。

しかし近年の大東の姿には、近代化の影響と水害対策や幹線道路の利便性追求にかたよった、機能的なはたらきが目立ってきました。これも大きな成果ではありますが、反面で山や川と密接に関わる先人たちが築いた循環型の生活共同体は過去のものとなり、人と自然との関わり、人と人との関わりも希薄になったようにみえます。わたしたちは、次世代のためにも心と心が通い合う新しい循環型の豊かなまちを取り戻さねばなりません。

地域による環境問題への取組も、それに重なります。地球環境問題をも含めた様々な課題を解決するためには、天然資源やエネルギーの消費を最小限にし、廃棄物や温室効果ガスの排出も最小にする循環型社会へと、形成し直すことが求められています。

そのためには、まずこの地の自然を守り、歴史や文化を継承し、より美しいまちに育てながら、よりよい環境を次世代につなぐ地域力が欠かせません。このまちで活動する事業者の協力も含めて、個人からサークル、地区の活動を通して、市全体の動きへと展開する地域力が求められます。

わたしたちのまちにとって、環境問題への取組と住み良いまちづくりは一体です。

わたしたち、つまり市民、事業者、行政を含むすべての大東市に関わるものは、快適でうるおいのある豊かな環境を享受するという市民の権利を確保するために地域力を結集し、「思いは地球的に、行動は地域で!」の精神にのっとり、この大東の地に、生活と産業の両立、人と自然、人と人とのふれあいを基本にする循環型社会の創生をめざして、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、快適でうるおいのある豊かな環境を保全し創造するための基本理念を定め、市、事業者、市民及び市民団体の連携のもとそれぞれが果たすべき役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の快適でうるおいのある豊かな生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において取り扱う「環境」は、次の各号に定めるところによる。

(1) 生活環境 日常の生活活動に関わる環境(都市化及びそれに伴う様々な事象で、健康、安全、廃棄物等に関わる事項又は公園、緑地、まちの利便性等に関わるような要素を含む。)をいう。

(2) 快適環境 自然、施設、歴史、文化、伝統等が互いに他を活かし合うよう均衡がとれ、その中で生活する人との間に調和が保たれている好ましい環境(自然、歴史、文化、景観、美しいまちづくり等に関わるような要素を含む。)をいう。

(3) 自然環境 動植物及びその生態系に関わる環境(地域の豊かな自然の保全、創造等に関わるような要素を含む。)をいう。

(4) 地球環境 地域や国を超えたグローバルな視点に立った環境(地球温暖化、オゾン層の破壊等生活の身近な活動が与える地球への負荷に関わるような要素を含む。)をいう。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 快適でうるおいのある豊かな環境 人と自然の営みが調和し、その中に生まれた独自の歴史や文化が守られ育まれる中で、現在及び将来の市民が健康を維持し安全で快適かつ文化的な生活を送ることができる環境をいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響で、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他人の活動によって生ずる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭等のために、人の健康又は生活環境に被害が生ずることをいう。

(4) 地球温暖化 人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表及び大気の温度が追加的に上昇する現象をいう。

(5) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(6) 持続的発展が可能な循環型社会 有限な資源から商品を大量に生産し、これを大量に消費し、又は廃棄する一方通行の社会システムを改め、将来の世代のために限りある資源を有効活用するとともに、廃棄物の発生を抑制し、環境への負荷をできる限り低減した社会システムをいう。

(7) 市民団体 快適でうるおいのある豊かな環境(以下「良好な環境」という。)の保全及び創造のための活動等を行うことにより、公益の増進に寄与することを目的として、市民を中心に組織された団体をいう。

(基本理念)

第3条 市に関わるすべてのものが、人と人とのふれあいを基本とした地域力を結集し、よりよい環境を育み、次世代に引き継いでいくために、協働して良好な環境を保全し、創造していくことを基本理念とする。

(基本方針)

第4条 市に関わるすべてのものが、主体的に前条の基本理念(以下「基本理念」という。)を具現化していくための基本方針を次のとおり定める。

(1) 公平な役割分担の下、環境への負荷が少なく、持続的発展が可能な社会の構築を目指した活動、施策等を自主的かつ積極的に進めること。

(2) 自然環境の保全と回復に努め、自然の恵みの賢明な利用と、自然と人間の豊かな交流を進めること。

(3) 事業活動及び日常生活による地球環境への影響を認識し、世界全体に目を向け、地球環境の保全のため積極的に行動すること。

(4) 市に関わるすべてのもの相互の理解と協力の下に対等の立場で参加し、協働して前3号に規定する活動を進めること。

第2章 地域の各主体の連携及び役割

(市の役割等)

第5条 市は、基本理念にのっとり、市域の自然的社会的条件に応じた環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する役割を有する。

2 市は、自ら行う事業の実施に当たって環境への負荷の低減に積極的に努めなければならない。

3 前2項に掲げるもののほか、市は、事業者、市民及び市民団体(以下「市民等」という。)と協働し、環境保全活動に努めなければならない。

(事業者の役割等)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任と負担において、その事業活動に伴って生ずる公害を防止するための必要な措置を講ずるとともに、積極的に環境保全対策に努めるものとする。

2 事業者は、資源及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の発生抑制等により、環境への負荷を低減するものとする。

3 事業者は、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、適正に循環的な利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 事業者は、公害その他良好な環境の保全及び創造に支障を及ぼす行為に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に当たるものとする。

5 前各項に掲げるもののほか、事業者は、市、市民及び市民団体と協働し、環境保全活動に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

(市民の役割等)

第7条 市民は、基本理念にのっとり、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって良好な環境を損なうことのないよう互いに配慮するとともに、日常生活において、資源及びエネルギーの使用並びに廃棄物の排出等による環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 市民は、基本理念にのっとり、市、事業者及び市民団体と協働し、環境保全活動に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

(市民団体の役割等)

第8条 市民団体は、基本理念にのっとり、市民の先導的な役割を担うため市民が参画できる体制の整備、情報の提供、活動機会の充実等を図り、市、事業者及び市民と協働し環境保全活動に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するものとする。

第3章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境に関する基本的な計画の策定

(環境基本計画)

第9条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

(3) 市及び市民等が良好な環境の保全及び創造のために行動する上において配慮すべき指針(以下「環境行動指針」という。)

(4) 前3号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定し、又は変更しようとするときは、市民等の意見を反映させるための必要な措置を講ずるとともに、第17条に規定する大東市環境審議会に諮問しなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。

(他の計画等との整合)

第10条 市長は、市の施策を定め、又は実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るよう努めなければならない。

2 市は、環境基本計画の実施に当たっては、その効果的な推進及び総合的な調整を行うために必要な措置を講じなければならない。

(環境行動指針への適合)

第11条 市民等は、事業活動及び日常生活において環境行動指針に従い、環境に配慮した行動に努めるものとする。

(年次報告等)

第12条 市長は、毎年、環境の状況並びに良好な環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第2節 良好な環境を保全及び創造するための施策

(市の基本的施策の策定等に当たっての配慮)

第13条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、又は実施するに当たっては、良好な環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(開発事業等に係る環境への配慮)

第14条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者に対し、あらかじめ当該事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮するよう促すため、必要な措置を講じなければならない。

(規制等の措置)

第15条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、その原因となる行為に対し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 市は、前項に掲げるもののほか、必要な措置を講ずるものとする。

(誘導的措置)

第16条 市は、市民等が自らの行為に係る環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に資する活動を誘導するため必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第3節 環境審議会

(審議会)

第17条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定により、環境の保全及び創造等に関する基本的事項を調査審議するため、大東市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

第4章 地球環境保全のための施策

(資源の循環的な利用等の促進)

第18条 市は、循環型地域社会の構築を図るため、廃棄物の減量及び資源化が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(地球温暖化対策の推進)

第19条 市は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものとの認識の下、地球環境の保全において、市民等と協働して地球温暖化対策に関する施策を推進するものとする。

2 市は、自ら率先して温室効果ガスの排出の抑制に努めなければならない。

(地球環境保全のための行動の促進)

第20条 市は、市民等との協働により、それぞれの役割に応じて地球環境保全に向けた行動指針を定め、その普及に努めるとともに、当該指針に即した行動を促進するよう必要な措置を講ずるものとする。

第5章 参画と協働のための施策

(環境教育等の推進)

第21条 市は、環境教育及び環境学習(以下「環境教育等」という。)の振興及び充実を図るため、次に掲げる事項を総合的かつ計画的に実施するとともに、市民等の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(1) 学校教育における環境教育等の推進のための施策

(2) 良好な環境の保全及び創造に関する生涯学習の支援のための施策

(3) 良好な環境の保全及び創造に関する広報啓発活動

(4) 前3号に掲げるもののほか、環境教育等の推進のために必要な施策

2 事業者は、良好な環境の保全及び創造のため、環境教育等が重要な役割を果たすことを認識し、環境教育等を通じて事業所の従業員の環境への意識を高めるよう努めるものとする。

3 市民及び市民団体は、良好な環境の保全及び創造のために環境教育等が重要な役割を果たすことを認識し、環境に配慮した活動を自ら実践できるよう環境教育等に主体的に取り組むよう努めるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第22条 市は、市民等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収、地域の環境美化その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、技術的指導、助言その他必要な措置を講ずるものとする。

(環境情報の収集及び提供)

第23条 市は、環境の状況及び良好な環境の保全及び創造に役立つ情報の収集に努めるとともに、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境教育等の推進及び市民等の自発的な活動の促進に必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(市民等の意見の反映)

第24条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、市民等の意見を反映するよう努めるものとする。

第6章 推進体制等

(監視等の体制の整備)

第25条 市は、環境の状況を把握し、良好な環境の保全及び創造に関する施策を実効性のあるものとするため、必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

(財政措置)

第26条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置に努めなければならない。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第27条 市は、良好な環境の保全及び創造を図るため、広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

(推進体制)

第28条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、調整するため、必要な体制を整備するものとする。

(委任)

第29条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、規則で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(平成18年規則第30号で平成18年6月5日から施行)

(経過措置)

2 この条例の施行日以後に市長が新たに委嘱し、最初に招集される審議会の招集及び会長が選任されるまでの間の審議会の議長は、市長が行う。

3 この条例の施行日以後に委嘱される公募の委員の選出に係る事前手続については、同日前に行うことができる。

(大東市環境審議会条例の一部改正)

4 大東市環境審議会条例(平成16年条例第7号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成23年条例第16号)

この条例は、公布の日から施行し、平成23年8月1日から適用する。

大東市環境基本条例

平成18年3月30日 条例第5号

(平成23年9月28日施行)

体系情報
第9編 生/第8章 生活環境
沿革情報
平成18年3月30日 条例第5号
平成23年9月28日 条例第16号