○大東市男女共同参画推進条例
平成19年3月23日
条例第8号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策等(第10条―第19条)
第3章 苦情等の処理(第20条―第22条)
附則
大東市では、市民の基本的人権の尊重をまちづくりの理念の重要な柱として位置付けています。「差別撤廃・人権擁護都市」の宣言や「大東市人権尊重のまちづくり条例」の制定など様々な人権施策を推進する中、男女共同参画社会の実現を目指し、性差別の解消と男女の自立に向けた施策に積極的に取り組んでいます。
また、国においても、国際連合の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を批准し、男女雇用機会均等法などの国内法や諸方策の整備を図り、社会的・文化的に形成された性差に縛られない男女共同参画社会の実現を目指した男女共同参画社会基本法を制定するとともに、様々な取組が進められています。
しかしながら、現実には性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会の制度、慣行が根強く残っており、依然として男女間の不平等や人権侵害が生じています。また、少子高齢化や高度情報社会の進展など社会経済情勢も急激に変化しています。
このような状況の中で、大東市は、男女が性別にかかわらず自らの意思によって個人の能力と個性を十分に発揮し、職場、学校、家庭、地域その他の社会のあらゆる分野に対等に参画し共に責任を担う男女共同参画社会の実現を目指して、ここにこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業者等及び教育関係者等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策(以下「推進施策」という。)の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の実現を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が社会における対等な構成員として、自らの意思によって職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野(以下「あらゆる分野」という。)における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 市民 市内で在住、在勤又は在学する者をいう。
(3) 事業者等 市内において、公的機関及び民間を問わず、又は営利及び非営利を問わず事業や活動を行う者をいう。
(4) 教育関係者等 学校・幼稚園及び保育所(園)その他の社会のあらゆる場において教育、保育及び指導(以下「教育等」という。)にあたる者をいう。
(5) 積極的改善措置 あらゆる分野における活動に参画する機会において、男女間の格差を改善するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(6) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動又は性別による固定的な役割分担意識に基づく言動により、相手に不快感又は不利益を与え、生活環境を害することをいう。
(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)又は配偶者であった者からの身体的、精神的、社会的、経済的若しくは性的な危害若しくは苦痛を与える行為又は与えるおそれのある行為をいう。
(8) 性的指向 恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。
(9) ジェンダーアイデンティティ 自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が直接的又は間接的にかかわらず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女共にその個性が尊重され能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことがないよう配慮されることや、男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択できること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、市、事業者等及び教育関係者等の政策や方針の決定過程に、共に参画する機会を確保すること。
(4) 男女が、共に家族的責任を持ち、相互の協力と社会の支援を受けながら、あらゆる分野における活動に、対等に参画できること。
(5) 男女の対等な関係の下に互いの性を理解し、健康に配慮するとともに、生涯にわたる性と生殖に関して、自らが決定する権利を十分に尊重すること。
(6) 国際社会における男女共同参画の推進に協力し連携すること。
(7) あらゆる分野から暴力や虐待を根絶すること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を重要な政策として位置付け、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、推進施策を策定し、実施しなければならない。
2 市は、推進施策の策定及び実施にあたり、必要に応じて積極的改善措置を講じなければならない。
3 市は、推進施策については、市民、事業者等及び教育関係者等(以下「市民等」という。)と協力して実施しなければならない。
4 市は、推進施策を実施するために、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、男女共同参画について理解を深め、あらゆる分野において積極的に男女共同参画社会の形成に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者等の責務)
第6条 事業者等は、その事業又は活動を行うにあたっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 事業者等は、市が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(教育関係者等の責務)
第7条 教育関係者等は、教育等が男女共同参画に与える影響の大きさを自覚し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 教育関係者等は、次世代を担う子どもの教育等にあたっては、あらゆる分野において男女が共に積極的に参画するよう配慮しなければならない。
3 教育関係者等は、市が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害等の禁止)
第8条 何人も、あらゆる分野において、次に掲げる人権侵害又は性別による固定的な役割分担意識に起因する人権侵害を行ってはならない。
(1) セクシュアル・ハラスメント
(2) ドメスティック・バイオレンス
(3) 子どもや高齢者等に対する虐待
(4) 前3号に掲げるもののほか、直接的又は間接的な性別による差別的取扱い
2 何人も、あらゆる分野において、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別その他の人権侵害を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する配慮)
第9条 何人も、広報、広告その他の公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担、男女間の暴力等を助長又は連想させる表現その他不必要な性的な表現を用いないよう努めなければならない。
第2章 基本的施策等
(男女共同参画計画)
第10条 市は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項に規定する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。
2 市は、前項の男女共同参画計画の策定にあたっては、広く市民の意見を反映できるよう努めなければならない。
3 市は、男女共同参画計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、男女共同参画計画を変更する場合に準用する。
(男女共同参画計画に定める事項)
第11条 男女共同参画計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 政策又は方針決定過程における男女間の格差を改善するための事項
(2) 男女共同参画の推進に関する啓発、広報等に関する事項
(3) 性別による固定的な役割分担意識に基づく制度及び慣行を改善するための事項
(4) 教育等又は労働の場における男女共同参画の推進に関する事項
(5) 職業生活における活動又は家庭若しくは地域生活における活動等の両立支援に関する事項
(6) 推進施策に関する苦情及び相談に対応するための事項
(7) 男女共同参画の推進に資するための調査及び研究に関する事項
(8) 前各号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関して必要な事項
(市民等への支援)
第12条 市は、市民等の男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講じるものとする。
(教育等における支援)
第13条 市は、基本理念にのっとった教育等の推進に対し必要な支援を行うものとする。
(広報活動等)
第14条 市は、基本理念に関する市民等の理解を深めるため、広報活動に努めなければならない。
2 市長は、男女共同参画の推進に関する活動を積極的に行う市民等に対し、顕彰を行うことができる。
(調査研究)
第15条 市は、推進施策を策定し実施するため、必要な調査研究を行うものとする。
2 市は、調査研究の結果を公表するものとする。
(施策の実施等にあたっての配慮)
第16条 市は、その実施する施策の全般にわたり、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(推進体制の整備)
第17条 市は、推進施策を策定し実施するため、必要な体制を整備しなければならない。
(年次報告)
第18条 市は、推進施策の実施状況を明らかにする年次報告書を作成し、これを公表するとともに、その結果を推進施策に反映させるよう努めなければならない。
(拠点施設)
第19条 市は、市民等による男女共同参画の推進に関する取組を支援するための拠点施設を設置し、充実を図るものとする。
2 大東市立生涯学習センター内の男女共同参画ルームは、前項に規定する拠点施設とする。
第3章 苦情等の処理
(相談窓口の設置)
第20条 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成の促進を阻害する問題の解決を図るため、相談窓口を置くものとする。
2 市は、前項の相談を受けたときは、他の関係機関等と連携し、必要な支援を行わなければならない。
(苦情等の処理)
第21条 市民等は、市が実施する推進施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について、苦情その他の意見(以下「苦情等」という。)があるときは、その旨を市に対して申し出ることができる。
2 市は、前項に規定する申出を受けたときは、関係機関と連携し、適切かつ迅速に対応しなければならない。
(男女共同参画苦情等処理委員)
第22条 市長は、苦情等を適切かつ迅速に処理するため、大東市男女共同参画苦情等処理委員を置くことができる。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に策定されている「改定大東市男女共同参画社会行動計画(平成16年3月策定)」は、第10条第1項の規定により策定され、公表されたものとみなす。
附則(令和6年条例第7号)
この条例は、公布の日から施行する。