○大東市インターネット上の誹謗中傷等の防止及び被害者支援に関する条例
令和3年3月23日
条例第9号
インターネットの普及は、私たちの社会に大きな恩恵をもたらしている一方、匿名性、不特定多数性等、その特性に起因して誤った情報や嫌がらせによる風評被害、悪口等を言いふらし他人の名誉や感情を傷つける誹謗中傷、プライバシー侵害等が安易に行われ、いじめの温床となる等の問題が世界各地で深刻化している。
市民がインターネット上の誹謗中傷等による被害者にも行為者にもならないために、正しくインターネットを活用する知識と能力を身につけることが極めて重要である。また、被害者に寄り添い、被害者の視点に立った支援を行うことも必要不可欠である。
市民一人ひとりが、表現の自由に配慮しつつ、インターネットの恩恵を享受できる、安全で安心な社会を実現することを目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、インターネット上の誹謗中傷等の防止及び被害者支援に関して、市の責務並びに市民及び議会の役割を明らかにするとともに、これらの施策の基本となる事項を定めることにより、これを推進することを目的とする。
(1) 誹謗中傷等 インターネット上において、誹謗中傷、プライバシーの侵害等当該者の権利を侵害する情報(以下この項において「侵害情報」という。)、侵害情報に該当する可能性のある情報又は侵害情報には該当しないが当該者に著しい心理的、身体的若しくは経済的な負担を強いる情報を発信することをいう。
(2) 被害者 誹謗中傷等により平穏な日常生活又は経済活動等を害された者をいう。
(3) 行為者 被害者を発生させた者をいう。
(4) インターネットリテラシー インターネットの利便性、危険性及び基本的なマナーを理解して、正しく情報を取捨選択し、適正な情報を発信し、及びインターネット上のトラブルを回避してインターネットを正しく活用する能力をいう。
(市の責務)
第3条 市は、被害者及び行為者を発生させないための施策並びに被害者を支援するための施策を実施する責務を有する。
(市民の役割)
第4条 市民は、自らが行為者となることがないよう、インターネットリテラシーの向上に努めるとともに、被害者が置かれている状況及び被害者の支援の必要性についての理解を深めるよう努めるものとする。
(議会の役割)
第5条 議会及び議員は、本条例の趣旨を理解し、市民の範となる行動に努めるものとする。
(連携協力)
第6条 市は、第3条の施策を円滑に実施するため、国、大阪府、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成16年法律第74号)第13条に規定する日本司法支援センターをいう。)その他の関係機関と連携を図らなければならない。
(基本的施策)
第7条 市は、インターネット上で情報を発信する者の表現の自由に配慮しつつ、次に掲げる施策に取り組むものとする。
(1) 市民の年齢、立場等に応じたインターネットリテラシーの向上に資する施策
(2) 被害者の心理的負担の軽減を含めた相談支援体制の整備
(インターネットリテラシーの向上)
第8条 市は、市民の年齢、立場等に応じたインターネットリテラシーを学ぶ機会を提供するため、研修会、講演会等の開催のほか、教材等の紹介、情報提供等必要な施策を実施するものとする。
2 市は、青少年に対する前項の施策を実施するに当たっては、学校教育と連携して取り組むとともに、就学前からの学びについて保護者の理解を得ながら取り組むよう努めるものとする。
(相談支援体制)
第9条 市は、被害者の不安、被害者に生じた不利益等を解消し、及び被害者が抱える心理的負担を軽減するため、相談支援体制を整備するものとし、次に掲げる事項を行うものとする。
(1) 相談内容に応じた必要な情報の提供及び助言
(2) 専門的知識を有する者の紹介
(3) 前2号に掲げるもののほか、被害者の相談対応として必要な事項
2 市は、前項の相談支援体制の整備に当たっては、相談をする者が安心して話しやすく、相談しやすい環境づくりに努めるものとする。
3 市は、第1項の相談のほか、インターネット上で発信した情報に関して不安を抱える者の相談を受けるものとする。
4 市は、被害者の相談支援に当たっては、被害者に生じた不利益等を解消し、及び被害者が抱える心理的負担を軽減するために必要と認める支援団体と連携して取り組むものとする。
(市民の理解の増進)
第10条 市は、誹謗中傷等の問題に関する市民の理解を深めるため、広報その他の啓発活動を行うものとする。
附則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。