○受水槽方式の場合の取扱基準

昭和51年4月9日

制定

受水槽以下の装置は、水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項に規定する給水装置でないため、受水槽以下の装置の維持管理については、使用者又は所有者の責任において行うものであるが、その構造及び材質等に不備があるときは、水道使用者の不安を引きおこし、水質上問題が生じるおそれがあるので、その構造及び材質等については、受給者における維持管理を適正かつ容易ならしめるため、大東市水道事業給水条例、同施行規程及び大東市上下水道局給水装置の構造、工事検査及び工事費等に関する取扱要綱に基づき、この基準を定める。

1 受水槽方式の種類

受水槽の設置は次の方式とする。

(1) 揚水ポンプ式(別図第1)

(2) 圧力タンク式(別図第2)

(3) 加圧ポンプ式(別図第3)

2 受水槽の設置位置

(1) 受水槽の設置位置は、地上式とする。ただし、やむを得ない事情があると認められるときで、かつ付近の他の給水に支障をおよぼさないよう流入管を上下水道事業管理者(以下「管理者」という。)の指定する高さまで立上げ、有効な真空破壊装置を取り付けた場合には、地下式とすることができる。

(2) 受水槽は、し尿浄化槽、汚水ます等の汚染源に近接せず、衛生的でかつ点検管理の容易な場所に設けるものとする。

(3) 外部から受水槽の天井、底及び周壁の保守点検を容易に行うことができるようにするため、受水槽の周囲は少なくとも45cm以上の空間を保つこと。(別図第4)

3 受水槽の構造

受水槽の構造は、建築基準法施行令第129条の2の5及び昭和50年建設省告示第1597号の基準に基づくほか、次の各号に掲げる要件を満たすものでなければならない。

(1) 受水槽の天井上部には、ボイラー、空調用機器その他飲料水を汚染するおそれのある設備機器等を設けないこと。(別図第5)

(2) 受水槽には、保守点検の出入りに必要な直径60cm以上のマンホール(密閉構造のもの)を水槽の上端より5cm以上高くして設け、必ず施錠出来るものとすること。(別図第6)

(3) 受水槽内に設けるタラップ、各種器具取付金具、ボルト、ナットはSUS又は防蝕処理した製品とすること。

(4) 受水槽内の清掃を容易に行えるよう、水槽の底部に適切な勾配(1/100以上)をとり、排水溝を設け、さらに吸込ピットを設けること。なお、水槽の底部は低水位より少なくとも15cm以上低くすること。(別図第7)

(5) 受水槽は、水質に悪影響を与えない材料を用いて、完全な水密性を保たせなければならない。材料は、鉄筋コンクリート、鋼鈑製及び強化樹脂等を用い次の事項に留意すること。

① 鉄筋コンクリート製の場合には、特に防水を入念に行うこと。

② 鋼鈑製の場合は、溶接に十分注意をし、内面には日本水道協会規格の耐水、耐塩素塗料を、外面には耐候性塗料を用いること。

③ 強化製樹脂製のもので組立式の場合は、井げた状の架台を設け設置すること。

(6) 受水槽の外部より衛生上有害な物質の流入、浸透の危険を排除するため、受水槽の天井、底又は周壁は、建築物の床版や外壁等と兼用してはならない。

(7) 受水槽の流入管には、逆流防止のため別表第1による吐水口空間を確保すること。

(8) 受水槽には、ほこりその他有害な物が入らない構造の通気装置を有効に設けること。ただし、有効容量が2m3未満の受水槽については、越流管で通気が行われるので、この限りでない。

(9) 越流管の管径は、流入量を十分に排出できるもので、その吐け口は間接排水とするため開口しておき、この開口部には越流管の有効断面積を縮小したり、排水時の障害がないような金網等を取り付けること。(別図第8)

(10) 受水槽の余裕高については、高水位(HWL)から受水槽周壁の上端まで適当な余裕高を設けること。

(11) 受水槽内で飲料水が滞留し、停滞水が生じないよう受水槽の流入口と揚水口を対称的な位置に設けること。また、受水槽が大きい場合は有効な導流壁を設けること。

(12) 受水槽は、清掃時に断水しないよう2槽式とすることが望ましい。特に鋼鈑製の場合は、内面の塗装替えをする時、塗料が乾燥するまで数日を要することから、原則として2槽式とすること。(別図第9)

(13) 受水槽の有効容量は、水質保全と円滑な給水を保持するため別表第2により算出すること。

(14) 受水槽の有効容量に比べ、使用水量が少ない用水設備の場合、又は、大規模な用水設備の場合は、残留塩素が水道法に定める値以下となるおそれがあるので、再塩素消毒のため塩素注入設備を設けること。

(15) 各水槽(受水槽、高置水槽等)は、水質保持のため消防用水と兼用しないこと。

(16) 波動によるボールタップの事故及び高水圧による水衝撃を防止するため、波浪防止壁又は水衝撃防止付ボールタップ、エアーチャンバーにするとともに、適当な箇所に止水器具等を設けること。

(17) 受水槽には、ボールタップ、水面自動制御装置等の故障による越流防止、渇水防止及び揚水ポンプの保安のため、水位警報装置を管理人室等、適当な箇所に設けること。なお、ボールタップは、万一の事故に備えて、予備を設けることが望ましい。

4 副受水槽の設置

(1) 配水管の管径に比べて、受水時の流量が大きい場合には、配水管の水圧が低下して付近の他の給水に支障をおよぼすことがあるので、高い位置に副受水槽を設けたり、あるいは水圧の十分な時間に限って受水するために、タイムスイッチ付電動弁を取り付けて、給水の時間的調整を図ること。

(2) 副受水槽の構造については「受水槽」に準ずる。

(3) 副受水槽の有効容量は、管理者の判断により算出する。

5 高置水槽の構造

(1) 高置水槽の高さは、建築物最上階の給水栓等から上に5m以上の位置を水槽の低水位(LWL)とする。

(2) 高置水槽には、用水設備以外の配管設備を直結してはならない。やむを得ず消火用水の圧送管を高置水槽に連絡する場合は、消火用水が圧送時に高置水槽へ逆流するのを防止するため、必ず逆止弁を取り付けること。

(3) 高置水槽内の清掃を迅速に行うため、排水管は高置水槽の最低部に設けること。また、高置水槽の規模にもよるが断水により支障がきたす場合には、水槽を仕切り2槽とすること。

(4) 高置水槽周辺の露出配管部分については、適当な凍結防止を施すこと。

(5) 高置水槽は十分な強度を有し、耐水性に富み、かつ水槽内の水が汚染されないような構造や材質のものとすること。

(6) 高置水槽が鋼板製のものについては、落雷対策として、アースを考慮すること。

(7) 高置水槽には、ボールタップの替わりに水位により自動的に電気回路を開閉し、これにより揚水ポンプが自動的に働くフロートスイッチ又は水面自動制御装置を取り付けること。

(8) 高置水槽の有効容量は、受水槽容量の1/3~1/2以上とすること。

6 揚水ポンプの設備

(1) ポンプは2台以上(内予備1台)常時交互に使用できるものとし、自動交互、単独自動、単独手動運転が任意に設定できるとともに、自動運転において1台が故障した場合、自動的に予備機に切り替わる構造とすること。

(2) ポンプは最大使用時でも水量、水圧を十分に供給し得る揚水量及び揚程とする。

(3) ポンプの設置については、ポンプの振動による床板、揚水管等への影響を十分に考慮(防振ゴム台、ポンプ直後の揚水管に可とう管を取り付ける。)するとともに、ポンプからの漏水、漏油に対する適切な防護処置を講ずること。

(4) ポンプの吐出し側には、仕切弁、逆止弁を設けるとともに空転防止のための圧力スイッチ等を設けること。

(5) ポンプは高置水槽等に設ける水面スイッチ等で自動制御運転を行う装置とすること。

(6) 揚水設備には非常時の停電等に備えて、自家発電機設備を設けるとともに、揚水設備の万一の事故に備えるために直圧による非常用水栓の設置をすることが望ましい。

7 子メーター口径の決定及び取り付け

(1) 受水槽方式により各戸に取り付ける子メーター口径は、原則として分岐口径と同一、又は使用水量及び使用状況に適合した口径とすること。

(2) メーターは、容易に点検、取替作業が行え、乾燥しかつ損傷のおそれのない位置でなければならない。また、メータの設置は給水栓より低位置かつ水平に設置すること。

(3) 複数のメーターを並べて設置する場合は、個々のメーターについて、その使用者が容易に判別できるようにしなければならない。

(4) メーターと他の配管とが近接する場合は、10cm以上の間隔を保持すること。

(5) メーターの取り付け部には、所定のメーターユニオン、メーターシモクナット、伸縮メーターユニオン、若しくは短管を使用し、適当な間隔を取ること。

(6) メーター取り付けまでは、所定の代用管を必ず取り付けること。

(7) 遠隔指示メーターを使用する場合には、管理者が別に定めるところによる。

8 協議

受水槽方式により、給水を受けようとする者は、設計に先立ち、次に掲げる事項について、管理者と協議しなければならない。

(1) 水量計算及び受水槽等の容量計算

(2) 配管及び配管材料

(3) 受水槽及び高置水槽等の構造

(4) 揚水ポンプの仕様

(5) メーターの取り付け及び検針方法

(6) その他必要事項

9 受水槽等の維持管理

(1) 所有者は、受水槽以下設備の維持管理を行うための管理人を選定し、管理者に届け出たうえ、これを表示しなければならない。

(2) 管理人は、給水の安全を図るため次の業務を行う。

① 受水槽及び高置水槽の掃除を1年に1回以上定期的に実施し、常に清潔な状態に保つこと。

② 受水槽の周囲及び内部、高置水槽の内部を常に監視点検し、有害物や汚水等により水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。

③ 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、かつその水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。

④ 受水槽の掃除は厚生大臣(都道府県知事)が指定した者に行わせること。

10 水質管理

管理人は、供給する水が水道法に規定する水質基準に準じ、常時人の飲用に適するものとするよう、水質管理について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 受水槽以下設備を新設又は増改設して給水を開始しようとするときは、水道法の規定に準じて、事前に水質検査を実施し、これに適合していることを確認すること。

(2) 給水栓水の残留塩素の測定を定期的に行い、遊離残留塩素を常に0.1mg/l(結合残留塩素の場合にあっては0.4mg/l)以上保持するように、必要に応じて再塩素消毒処理を実施すること。

(3) 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により、給水する水に異常を認めたときは、必要項目について水質検査を実施し、その安全性の確認を行うこと。

(4) 水質検査は、おおむね6ヶ月に1回以上定期的に行うこととし、地方公共団体の機関(保健所、地方衛生研究所等)又は、厚生大臣が指定する者の検査を受けること。

受水槽方式の場合の取扱基準

昭和51年4月9日 制定

(平成27年4月1日施行)

体系情報
第15編 公営企業/第5章
沿革情報
昭和51年4月9日 制定
昭和60年7月1日 種別なし
昭和62年2月6日 種別なし
平成27年4月1日 種別なし