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歴史を語り継ぐ「御領(ごりょう)せせらぎ水路」

記事ID:0034867 更新日:2022年3月29日更新 印刷ページ表示

#住道駅 #歴史

御領水路

大東市御領地区に存在し、自動車以前の主に農業用輸送・移動手段の歴史をつなぐ水路が「御領せせらぎ水路」である。
現在では観光名所として、昭和の時代まで活躍していた“田舟(三枚板)”の体験乗船やその周辺の面影などの歴史を語り継いでいる。

イラストマップ 御領水路

都市化が進んだことにより、道頓堀にまで通じていたとされる広大な水路の大半は埋め立てられ、陸の道と姿を変えた。保存されている今の御領せせらぎ水路にあたるのはほんのわずか約290メートル、そのうち田舟で通行できるのはその半分の片道約150メートル(往復約15分)程度である。

初夏には睡蓮の花が咲く

田舟体験は4月から9月の間の第1、第3日曜日10時から12時までとなっている。
御領せせらぎ水路保存会の日ごろの努力によって水質や水路の動植物などが管理され、美しい景観が保たれている。睡蓮の花がとりわけ印象的であるが、ほかにも鯉(コイ)やメダカ、亀、ザリガニなどが生息している。

田舟

田舟は“三枚板”と呼ばれるもので、当時のものより水路の幅も狭くなったぶん小ぶりに作られているそうだ。大阪府寝屋川市東大利町にも陸上展示されている三枚板があるがこちらもレプリカだそうで、当時のものは現存しない可能性が高いという。

この水路の発展は古き御領村時代にさかのぼり、水の都と名高いイタリアのヴェネツィアのように水郷地域特有の運搬・移動手段として独自に成立してきた。公式のパンフレットでは「御領村は古くから用排水路(井路)の水路が縦横に走り運搬手段の中心として三枚板と呼ばれる農業用田舟が活躍していました」と説明されている。レンコンや米など特産農作物の運搬が主だっていたという。

御領せせらぎ水路保存会のみなさん

全盛期に張り巡らされた水路のほとんどがすでに姿を消したが、その保存に尽力している「御領せせらぎ水路保存会」の田中祥介さんに話を聞くことができた。
現在の保存会は11名で運営されており、運航前の掃除や睡蓮の栽培も行っている。
田舟乗船体験の趣旨として、田舟のあった御領の生活の趣を実感してもらうこととし、日々安全に気を配って運行している。
今後も当時の水路文化の伝承のために尽力していきたいとのこと。
最近では大東市周辺からだけでなく関西圏からの来報も増えているという。
雨の日は運航を中止する可能性があり、また緊急事態宣言下では一般向けの乗船体験はできないため、観光の際は注意が必要だ。

田舟乗船体験の様子

現在は当時を知る方も参加しており、大変貴重な体験談を聞くことができる。しかし先へ歴史を伝えるという観点で“その時”のありのままの姿を残し伝承するのは、苦難の道があるのではとつい考えてしまう。ただ、ふるさとへの温かい思いはずっと続いていってほしいと誰しもが思うのではないだろうか?

御領せせらぎ水路


住 所:大東市御領1丁目2-10
営業日:4月~9月の第1、第3日曜日
営業時間:午前10時から午前12時まで
料金:100円
所要時間:約15分
アクセス:住道駅から車で12分、徒歩で25分

取材:大阪産業大学 経営学部 商学科 鈴木ゼミ 細川裕介